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幹細胞を用いた夢の再生医療

ここ数年の間に急速に注目されるようになったのが、「再生医療」である。自分の体のこわれた細胞や組織、器官を、自分の細胞を使って修復するというアイデアである。これを可能にするのが、どんな細胞にもなれる全能性をもった「ES細胞」(胚性幹細胞)である。
このES細胞をつくるには、クローン動物をつくる技術を応用する。この技術はまたヒトのクローンにもつながるため、研究の進め方については議論もあり、また一部では誤解されている面もあるが、きわめて有望な技術であることはまちがいない。
造血幹細胞のように体の組織からとった「体性幹細胞」でも、同じようなことができる可能性がある。興味深いことに幹細胞は非常に賢く、移植された先の細胞からの情報によって、本来自分が分化すべき細胞ではない別の種類の細胞に分化することも可能であるらしい。
自分の細胞を使って自分の体を修理できれば、これまで臓器移植で問題になってきた拒絶反応はおこらない。今回取材したアドバンスド・セル・テクノロジー社は、幹細胞による再生医療にターゲットをしぼりこんで設立された企業である。
がん細胞
がん細胞は、腫瘍内に血管を引きこみ、酸素や栄養を確保する。そこに目をつけ、がんの血管新生を阻害する薬剤の開発が活発になってきている。

老化のメカニズムが解明されつつある。

医療テクノロジーの進歩は、これまで治療が困難だった病気を治せるようにするだけなく、病気の発生を予測し、それを未然に防ぐことをも可能にするだろう。その結果、われわれは健康で長生きできるようになる。われわれの寿命はまちがいなくのびるだろう。
最近の研究で、老化のメカニズムや老化に関係した遺伝子が明らかにされつつある。いつまでも若々しく、健康な生活を送るためには、こうした研究は欠かせない。染色体の末端のテロメアとよばれる部分は、細胞分裂のたびにすり減っていく。これが細胞の分裂限界を決めているが、テロメラーゼという酵素はこのすり減りを修復し、細胞を永遠に分裂可能にしてしまう。こうした細胞の不死化現象は、テクノロジーの発達によって、われわれが何歳まで生きられるようになるかを考える上で、興味深い存在である。
人生のクオリティを保つためには、心の状態も大事である。現在、アルツハイマー病をはじめとする痴ほうの治療法や予防法の研究が進んでおり、うつ病をはじめ心の病気を治す薬の研究も進んでいる。アルツハイマー病研究の最前線についてはアメリカの国立老化研究所で、うつ病の治療についてはハーバード大学で取材を行った。
ES細胞
ES細胞(胚性幹細胞) 受精卵から細胞分裂が進んだ胚盤胞からは、あらゆる組織細胞に分化できるES細胞が取りだせる。将来は、損傷を受けた組織をES細胞から培養した再生組織で置きかえるといったことが行えるようになるだろう。

アメリカでも日本でも、医療の最前線では実にさまざまな試みが行われている。そのうちのどれだけが実用化され、われわれの生活に入ってくるかはわからないが、生命科学の新たな知見にもとづく研究がダイナミックにくり広げられているのである。


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