医療技術は高度で精緻なテクノロジーへと変貌をとげつつある。その主戦場は、遺伝情報や分子生物学的手法を駆使した分子の世界にあり、研究の最前線では、これまで想像もつかなかったような治療法が次々と開発されている。こうした動きをレポートするため、『Newton』では海外および日本で大がかりな取材を行った。
医療テクノロジーの爆発的な進歩をうながした要因の一つは、ヒトの全遺伝情報を読んでしまおうというヒトゲノム計画の進展である。この壮大な計画を進めてきた国際チームは2001年4月にヒトゲノムの概要を発表した。現在は2003年3月を目標に、ヒトゲノムの全配列を99.99%以上の精度で読む作業を進めているところだ。
ヒトの遺伝子は3万数千個と予測されているが、まだその多くが発見されておらず、3億の文字列の中から、遺伝子を発見し、それがつくるタンパク質の構造や機能を解明する仕事はこれからである。しかし、ヒトゲノムが解読されるにつれて、病気に関連した遺伝子の情報は飛躍的にふえ、これが新しい薬や新しい治療法の研究を加速させている。 |
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老化の大きな原因の一つに、DNAに蓄積する傷がある。とくに活性酸素のDNAへの攻撃が老化に大きな影響をおよぼしていると考えられ、注目を集めている。「200歳時代」を実現するためには、老化のメカニズム解明が非常に重要だ。 |