メディカルニュース
HIVに強くなるには“副作用”がある
●Nature Medicine 2019年6月4日
HIVに感染しにくくなるような遺伝子変異があると,寿命が短い傾向がある

 「HIV(ヒトウイルス)」は,免疫にある「CCR5」というタンパク質を足がかりにして感染する。その結果,免疫がうまくはたらかなくなる病気が「エイズ」だ。これまでに,CCR5をつくるための遺伝子に「デルタ32」とよばれる変異があると,HIVに感染しにくくなることがわかっている。
 アメリカ,カリフォルニア大学のウェイ博士らは,デルタ32変異があると,寿命が短くなる傾向があることを発見した。ヒトは,CCR5をつくる遺伝子を二つもっている。そこで,さまざまな人の遺伝子と死亡年齢のデータを用いて,二つの遺伝子に変異がない人,片方に変異がある人,両方に変異がある人について,それぞれの死亡年齢を調べた。すると,両方に変異がある人は,そのほかの人にくらべ,76歳まで生きる確率が約20%低いことがわかった。
 2018年11月,遺伝子を操作してCCR5をに変異させた「ゲノム編集ベビー」が中国で生まれたが,そのような研究はまだ危険かもしれない,と博士らはのべている。

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