メディカルニュース
失われる,ニューロンと記憶
●Nature Medicine 2019年3月26日
アルツハイマー病の患者の脳では,新たに生まれる神経細胞の数が少なくなることがわかった。

   「アルツハイマー病」は,記憶力や思考能力などが少しずつ失われ,日常生活に影響をおよぼす脳の病気である。その原因はまだ解明されておらず,根本的な治療法も存在しない。
 スペイン,セベロ・オチョア分子生物学研究所のヒメネス博士らは,健康な人の脳と,アルツハイマー病の患者の脳において,記憶をつかさどる「海馬」について調べた。すると,健康な人の海馬では,年齢をかさねても,新しい神経細胞が何千個も生まれている一方,アルツハイマー病の患者の海馬では,神経細胞が新しく生まれる量が少なくなっていることがわかった。さらに,アルツハイマー病が進行するにつれて,新しく生まれる神経細胞の数はさらに減っていくことも示された。つまり,アルツハイマー病では,海馬で新たな神経細胞が誕生しなくなるために,海馬の神経細胞が減少し,新しく記憶できなくなったり,過去の記憶が思いだせなくなったりするようだ。

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