メディカルニュース
脳梗塞の新しい治療法
●Science Advances 2018年12月12日
新しくつくられた神経細胞の移動をうながすことで, 脳梗塞による運動機能の障害が改善した。

 脳梗塞は,脳血管がつまり血流がとぎれることで神経細胞が死滅する疾患である。脳梗塞が生じると,脳内の特定の領域でつくられた神経細胞が障害部に移動して脳を再生しようとするが,障害を受けた脳の中では十分に移動することができないことが知られている。
 名古屋市立大学の金子奈穂子博士らは,脳梗塞のマウスの脳を分析し,肥大化した「アストロサイト」とよばれる細胞が神経細胞の移動をさまたげていることを発見した。さらに,アストロサイトの間をすり抜けてスムーズに移動するのに必要な「スリット」というタンパク質を同定した。神経細胞がつくるスリットを増加させると,脳梗塞後の脳内で神経細胞の移動を促進することができた。その結果,障害部の近くまで移動して成熟する神経細胞の割合が増加し,脳梗塞によってもたらされた運動機能の障害が改善した。博士らは,今回の研究成果は他の脳疾患に対する再生医療にとっても重要だ,とのべている。

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