メディカルニュース
iPS細胞でパーキンソン病の治療へ
●京都大学プレスリリース 2018年11月9日
ヒトiPS細胞からつくった神経細胞を, 世界ではじめてパーキンソン病患者の脳に移植した。

 パーキンソン病は,快感や意欲,運動機能などにかかわる脳内の神経伝達物質「ドーパミン」をつくる神経細胞(ニューロン)が減少し,手足が震えたり体を動かしにくくなったりする病気だ。これまでは,症状をやわらげるのみで,根本的な治療法はなかった。
 京都大学医学部附属病院脳神経外科の研究グループは,iPS細胞(人工多能性幹細胞)からドーパミンをつくる神経細胞に変化できる「ドーパミン神経前駆細胞」をつくり,パーキンソン病患者の脳に移植したと発表した。研究グループは,京都大学iPS細胞研究所が保管する第三者のiPS細胞から,240万個のドーパミン神経前駆細胞を作製。その後,患者の頭蓋骨に開けた直径1.2センチメートルの穴から,ドーパミンが分泌される脳の「皮殻」という領域に細胞を注入した。
 iPS細胞からつくった細胞を患者に移植するのは,理化学研究所が2014年に行った網膜色素上皮細胞の移植につづく2例目で,脳への移植は世界初だ。安全性や治療効果など,今後の経過が注目される。

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