メディカルニュース
血管をもつ膵臓組織の作製に成功
Cell Reports 2018年5月8日
高い効率で1型糖尿病を治療できると期待される,移植用の膵島組織をつくることに成功した。

 1型糖尿病は,膵臓の「膵島」という組織で,「インスリン」という血糖値を下げる物質がつくれなくなる病気だ。その治療法として,他者の膵臓から膵島組織だけを分離し,点滴によって移植する「膵島移植」がある。だが,移植された膵島が体内にとどまる効率は低く,十分な治療効果が得られないことが多い。膵島を分離する過程で,膵島の血管構造がこわれてしまうことが一因だと考えられている。
 横浜市立大学の大学院生,橋禎暢氏らは,ヒトおよびマウスの細胞から,血管構造をもつ膵島組織を体外でつくりだすことに成功した。橋氏らは,血管をつくりだすのに必要な「血管内皮細胞」や「間葉系幹細胞」とともに,膵島組織を培養したのだ。
 従来の膵島を1型糖尿病のマウスに移植すると5日後の生存率が40%だったのに対し,この血管構造をもつ膵島を移植したマウスは90%以上が生存したという。

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