メディカルニュース
HIVワクチンへの大きな一歩
nature medicine 2018年4月16日
新たに開発されたサル免疫不全ウイルスの抗体をアカゲザルに投与すると,ウイルスの感染を予防できた。

 エイズの原因となるヒト免疫不全ウイルス(HIV)の感染を予防する効果的なワクチンは開発できていない。これまでに,HIVに結合して,感染能力を失わせる抗体「bNAbs」が,HIVに感染した患者の体内からみつかっていた。しかし,この抗体を人体に投与しても,すぐに分解されるため,エイズの予防効果は十分に得られていなかった。
 アメリカ国立衛生研究所のマーチン博士らは,bNAbsを一部改変し,安定性を高めた抗体をつくりだした。これをアカゲザルの静脈に注射(静脈内注射)した結果,サル免疫不全ウイルス(SIV)の感染を27週間ほど防ぐことができた。投与した抗体はサルの血液内に26〜41週間とどまっていたという。
 また,より簡便な皮下注射(静脈内注射よりも浅い皮下組織への注射)でも,20週間ほど感染を防ぐことができた。ヒトのHIV感染予防にも役立つかはいまだ不明であり,慎重に臨床試験を行う必要がある,と博士らはのべている。

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