メディカルニュース
がんを退治する細菌!?
Science Advances 2018年2月28日
皮膚に生息する細菌が分泌する物質が,皮膚がんの進行をおさえることがわかった。

 ヒトの皮膚には非常に多くの微生物が生息している。皮膚の健康には,これらの微生物が大きく影響していると考えられているが,くわしいことはあまり明らかになっていない。
 アメリカ,カリフォルニア大学ロサンゼルス校の仲辻晃明博士らは,ヒトの皮膚に生息する細菌「表皮ブドウ球菌」が「6-N-ヒドロキシアミノプリン(6-HAP)」という物質を分泌していることを発見した。6-HAPはDNAの合成を阻害するはたらきをもった物質だ。博士らはさらに,培養した細胞を使った実験で,6-HAPが,正常の表皮細胞には影響せず,皮膚がんの一種である「メラノーマ細胞」の増殖だけをおさえることを見いだした。
 また,6-HAPをつくる表皮ブドウ球菌をもつマウスは,もたないマウスにくらべて皮膚がんが発生しづらかったという。この細菌は,ヒトでも皮膚がんの発生の抑制に一役買っているのかもしれない。

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