メディカルニュース
多剤耐性菌への切り札?
Science Translational Medicine 2018年1月10日号
やっかいなバイオフィルムさえ破壊する「ペプチド」によって,多剤耐性菌を効果的に治療できるようになるかもしれない。

 多剤耐性菌は,多くの抗生物質が効かないように変化しているため,感染すると治療がむずかしい。とくに「バイオフィルム」を形成する菌が薬剤への耐性をもつと,やっかいである。
 バイオフィルムは,細菌が分泌した物質の中に細菌が入りこんだ細菌の集合体であり,抗生物質が1000倍程度効きにくくなる。しかしバイオフィルムをつくる多剤耐性菌に対する効果的な治療薬は,ほとんど開発できていない。
 オランダ,ライデン大学のニベリング博士らはヒトがもち,抗菌作用がある「LL-37」というペプチド(アミノ酸が複数連結した分子)をもとに,24個のアミノ酸を連結したペプチドを25種類合成し,有望なものを探索した。その結果,「SAAP-148」というペプチドは,試験管内で,薬剤抵抗性を獲得させずに多剤耐性菌を殺し,バイオフィルムの形成も阻害,形成されていたバイオフィルムも破壊したという。マウスの皮膚での治療効果も確認され,新薬として期待される。

CLOSE

CLOSE