メディカルニュース
塩辛い食事は腸内細菌に影響し,高血圧を招く
nature 2017年11月30日号
特定の乳酸菌の減少が,高血圧や自己免疫疾患のリスクを高めているようだ。

 塩分の摂取量が多い欧米型の食生活は,高血圧や血管性疾患の原因となることはよく知られている。また,多量の塩分は腸内の環境や免疫にも影響をあたえ,自己免疫疾患に有害である17型ヘルパーT細胞(Th17)を活性化させることなどが近年わかってきた。
 ドイツ,マックス・デルブリュック分子医学研究センターのウィルク博士らは,マウスに高塩分食をあたえ,腸内の乳酸菌のうちの一種がとくに減少することを見いだした。また,この乳酸菌を補充するとTh17細胞の増殖を抑制し,高塩分食で引きおこされた自己免疫性脳脊髄炎や高血圧の症状が改善されることもわかった。さらにヒトを対象とした試験的な研究でも,高塩分食によって血圧上昇とTh17細胞の増加が引きおこされ,腸内の乳酸菌類は減少していることが示された。
 Th17細胞の活性化を阻害する乳酸菌を同定することで,新しい予防や治療の戦略が生まれる可能性があるようだ。

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