メディカルニュース
薬が効きにくい“生き残りがん細胞”の弱点
nature 2017年11月9日号
抗がん剤治療で生き残ったがん細胞が本格的に薬剤耐性をもつ前に,死滅させることができるかもしれない。

 がんを薬剤で治療する場合,薬剤への耐性が問題となる。初期の薬剤耐性はがん細胞の変異によって獲得されるわけではなく,最初から薬剤抵抗性をもつ一部のがん細胞(休止細胞)が生存することで,その中から最終的に薬剤耐性がんが生まれると考えられている。この薬剤耐性をもつ細胞集団を標的とした治療は,がんの根治につながる。
 従来の研究で,カリフォルニア大学のハンガウアー博士らは,休止細胞が,GPX4というたんぱく質に依存して生存していることを見出していた。GPX4は,細胞死の一種であるフォロプトーシスをおさえる酵素である。今回,博士らは,休止細胞のGPX4のはたらきを薬剤で阻害することでフォロプトーシスを誘導し,休止細胞を死滅させることに成功した。
 GPX4を標的とした新しい治療戦略により,薬剤耐性がんの発生を抑制できるかもしれない,と博士らはのべている。

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