メディカルニュース
つまりそうな動脈を見分ける
Science Translational Medicine 2017年7月12日号
X線を使ったCT検査により,心筋梗塞などの心疾患を引きおこしそうな血管を見つける手法が開発された。

 血管の炎症を早期に検出することは,さまざまな病気の予防や治療において非常に重要である。しかし,一般的に使用されているイメージング(画像化)の方法では,血管の炎症は検出できない。
 イギリス,オックスフォード大学のアントノプロス博士らは,「血管周囲CT脂肪減衰指数(FAI)」という,血管の炎症の測定基準を開発した。これは,炎症をおこしたヒトの血管では,「血管周囲脂肪組織(PVAT)」での脂質の蓄積が減少し,脂肪細胞の成熟が遅れることを利用したものだ。273人の被験者で検証を行った結果,ヒトの冠状動脈の周囲のFAIは,血管の炎症の状態に応じて変化することが確かめられた。また,狭心症や心筋梗塞などで見られる不安定アテローム(コレステロールなどからなる血管壁内の蓄積物)を同定することに成功した。
 今回開発された方法は,血管の炎症や心筋梗塞などの予兆を,体を傷つけずに検出することができ,非常に有用だという。

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