血小板は,止血,血栓形成,炎症反応に関係する,血液中の細胞(の断片)である。これまでは骨髄が,血小板をつくる過程で主要な場であると考えられてきたが,成熟した血小板がつくられる組織については,詳細がわかっていなかった。
アメリカ,カリフォルニア大学のルフランセ博士らは,マウスの肺の微小な血液循環を画像化することに成功した。その結果,非常に多くの巨核球(血小板の元となる細胞)が肺を循環しており,活発に血小板を放出していることを明らかにした。また,肺には造血前駆細胞とともに成熟した巨核球と未成熟の巨核球の集団が存在している。血小板の減少や幹細胞の減少がおきると,これらの前駆細胞が肺から移動して,骨髄に再定着し,血小板の数を回復させることもわかった。
今回の博士らの結果は,肺が成熟血小板をつくる主要な場であり,造血において重要なはたらきをもつ器官であることを示している。
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