メディカルニュース
皮膚にいる細菌でアトピーをおさえる
Science translational medicine 2017年2月22日号
自分の皮膚の表皮ブドウ球菌を移植することで,黄色ブドウ球菌を減らしてアトピー性皮膚炎を治療できる。

 人体に共生する微生物の集団を「マイクロバイオーム」とよぶ。マイクロバイオームの変化は宿主であるヒトの健康にも影響をあたえる。たとえばアトピー性皮膚炎(AD)患者では,皮膚細菌の集団が変化することで免疫機能が影響を受け,黄色ブドウ球菌が繁殖し,さらに症状が悪化することがこれまでの研究からわかっている。
 アメリカ,カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究グループは,健康なヒトの皮膚にすむ表皮ブドウ球菌が,ADを悪化させる黄色ブドウ球菌の成長を阻害する抗菌物質をつくること,また,AD患者ではこのような抗菌物質をつくる細菌が減少していることを報告した。さらに,AD患者に対して,自分自身の皮膚にいる表皮ブドウ球菌を増殖させて移植したところ,黄色ブドウ球菌を大幅に減少させることに成功したという。
 この共生細菌の移植は現在,臨床試験が進行中である。

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