メディカルニュース
細菌に抗生物質が効かなくなるメカニズム
Science 2017年2月9日号
抗生物質に対して,細菌はまず,自らの活動を休止する「寛容性」を手に入れ,その後に「耐性」を獲得していた。

 細菌への感染は,抗生物質で治療できる。しかし抗生物質が効かない薬剤耐性菌の出現が問題となっている。抗生物質にさらされたときの細菌の変化として,自らの活動を休止してやり過ごす「寛容性」と,抗生物質に対抗する手段を獲得する「耐性」が知られている。近年,断続的に抗生物質を投与することで,細菌は急速に寛容性を獲得することが示された。ただし,寛容性を示す細菌の中から,抗生物質があっても増殖可能な耐性菌が生じるのかどうか,不明であった。
 イスラエル,ヘブライ大学のレイスマン博士らは,試験管内で大腸菌に抗生物質「アンピシリン」を投与し,大腸菌がどのように進化するか検討した。その結果,寛容性の獲得が,耐性の獲得に先んじておきることがわかった。
 今回の発見は,細菌が寛容性を獲得しないように治療することが,耐性菌の出現を抑制するために重要であることを示している。

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