メディカルニュース
安全で効果の高いワクチン
Science 2016年12月2日号
感染するが増殖しないインフルエンザウイルスを作製することに成功した。

 インフルエンザウイルスやエボラウイルス,エイズウイルスなどの発症を予防できる,効果の高いワクチンの開発が望まれている。感染して免疫をしっかり活性化しつつも,症状をおこさないウイルスが作製できれば,効果の高いワクチン開発へ応用できそうだ。
 中国,北京大学のシ博士らは,ウイルスが増殖する際に必要な遺伝子の途中に,「停止」を意味する“文字”(終止コドン)を導入したウイルスを人工的に作製した。このウイルスは,普通の細胞には,入りこんで感染できるものの,増殖はできないので,症状をおこさないと期待できる。
 このウイルスをマウスやブタなどに投与したところ,さまざまな種類のインフルエンザウイルスに対する免疫を活性化できた。なおこのウイルスをワクチンとして“増産”したいときには,人工的に導入された文字を無視できる特殊な細胞を用いる。博士らは,この手法はウイルスのワクチンを作製する際に有効だろうと語っている。

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