メディカルニュース
ゲノム編集を治療に応用
nature News 2016年11月15日
免疫細胞の遺伝子を改変して,がん細胞への攻撃性を高めることに成功した。

 10月28日,中国の西中国病院において,「ゲノム編集」でつくられた高い攻撃性をもつ免疫細胞を,肺がんの患者に投与する臨床試験が行われた。ゲノム編集とは「CRISPR/Cas9」などの人為的に合成したタンパク質などからなる分子を使うことで,遺伝子を切断したり,新しい遺伝子を挿入したりする技術だ。
 がん細胞は,免疫細胞の表面にあるタンパク質である「PD-1」に結合する物質をもつ。PD-1にこの物質が結合すると,がん細胞は免疫細胞から攻撃されにくくなる。臨床試験を主導した中国,四川大学のヨウ博士らは,ゲノム編集で遺伝子を改変し,PD-1をもたない免疫細胞をつくった。がん細胞はこの免疫細胞と結合できないため,この免疫細胞は本来の機能を発揮するという。
 今のところ,臨床試験の経過は順調のようだ。2017年には,肺がん以外の患者へも同様の臨床試験が行われる予定である。

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