メディカルニュース
乳がんの発症を抑制
The American Journal of Pathology 電子版 2016年9月12日
乳腺において,細胞のがん化を抑制している遺伝子が発見された。

 女性ホルモンの一種である「エストロゲン」は,乳腺における細胞の分化や増 殖をうながすはたらきをもつ。女性は妊娠時,エストロゲンが多く分泌され,乳腺が発達する。その後,通常は乳腺の発達が停止するが,うまく停止しない場合,乳がんの発症につながるとされている。しかし,乳腺細胞の成長がどのように制御されているのか,これまで不明だった。
 東京工業大学の駒田雅之博士らは,マウスを用いた実験で,「Nrk」という遺伝子が乳がんの発症を抑制していることを明らかにした。Nrkをもたない雌マウスを妊娠させたところ,このマウスでは乳がんの発症率が劇的に増加したという。
 一方で,Nrkをもたないマウスでも,妊娠を経験していなければ,乳がんは発症しなかったという。今後,Nrkと乳がん発症のくわしい関係を解明し,ヒトにおける乳がんの発症の抑制につながることを博士らは期待している。

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