筋萎縮性側索硬化症(ALS)は,筋肉の動きを指令する神経が徐々に変性して
いくことで,運動や呼吸までもが困難になる病気だ。発症のしくみは解明されて
おらず,今も有効な治療法はない。
慶應義塾大学の鈴木則宏博士らは,2016年4月に「FUS」という遺伝子がALSの
発症に関係していることを突きとめた。そして今回,FUSを導入することで,ALS
と同じ症状を発症したマウスをつくることに成功した。このマウスを調べたとこ
ろ,神経細胞の核をとりまく部分に異常にタンパク質が蓄積しており,ALSの原
因となっていることがわかった。さらに,このマウスの脳組織を調べてみると,
はたらきの度合いが大きく変化している遺伝子群がみつかった。これらもALSの
発症に深くかかわっている可能性がある。
これらのタンパク質や遺伝子群を対象とすることで,ALSの治療法の開発につ
ながる可能性がある,と博士らはのべている。
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