メディカルニュース
骨と免疫の意外な関係
Immunity 電子版 2016年6月14日
敗血症の際,骨をつくりだす細胞が減ることで免疫が弱まることがわかった。

  「敗血症」は,血液に細菌が入りこむことで全身に炎症がおよぶ重篤な病気 だ。敗血症にかかると,免疫機能をになう「リンパ球」が減少し,その状態がつづくことで,ほかの感染症にかかりやすくなる。しかし,リンパ球が少ない状態がつづく理由はよくわかっていなかった。
 今回,東京大学の寺島明日香博士らは,敗血症をおこしたマウスを使って検証を行った。その結果,敗血症のマウスでは,骨をつくりだす「骨芽細胞」が減少していた。また,骨芽細胞が分泌する「IL-7」というタンパク質が,リンパ球のもととなる「リンパ球前駆細胞」を維持するのに必要なタンパク質だということもわかった。このことから,敗血症では,骨芽細胞が減少することで,リンパ球がつくられにくくなり,免疫力が低下すると考えられるという。
 今後,骨芽細胞を対象とした敗血症の新しい治療法が開発されることを博士らは期待している。

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