皮膚は生物の最外層のバリアとして機能している。皮膚には,分裂の頻度が低
く長期間生存する細胞(LRC)と,活発に分裂し寿命の短い細胞(non-LRC)の2
種類の細胞があり,これによって皮膚の細胞はつねに新しいものに置きかわって
いる。今までは,LRCが,新しい細胞を生みだすもととなる「幹細胞」であると
されてきた。
今回,アメリカ,コーネル大学の佐田亜衣子博士らは,成体のマウスの皮膚を
用いて,二つの細胞のはたらきを検証した。すると,non-LRCも幹細胞としては
たらくことがわかった。LRCとnon-LRCはことなる種類の幹細胞であり,正常な皮
膚では,存在する領域もことなるという。一方,皮膚に傷がついた場合には,両
方の幹細胞が傷の場所へと移動して,皮膚を再生することがわかった。
今回の成果が,ヒトの皮膚の老化や,がん化などのしくみの理解につながるこ
とを,博士らは期待している。
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