メディカルニュース
異常な細胞の運命
nature communications 2016年3月29日
受精卵が着床するまでの間に,異常をもつ細胞が除去されていた。

 卵子は精子と出会うことで受精卵となる。その後,細胞分裂し,受精卵は「胚」とよばれるようになる。胚が子宮の壁にくっつき一体化することを「着床」という。
 着床する前の胚の中には,遺伝情報を保持する染色体の数が本来の数とはことなる細胞(異数性細胞)が存在していることがある。こういった異常をもつ細胞が胚の中でどのように成長し,処理されるのか,よくわかっていなかった。
 イギリス,ケンブリッジ大学のボルトン博士らは,薬を使ってマウスの胚に異数性細胞を意図的につくり,その成長過程を調べた。その結果,異数性細胞は受精卵が着床するときに,細胞がみずから死んでいく「アポトーシス」をおこして胚から排除されていることがわかった。また,異数性細胞が多い胚は,着床がうまくいかずに壊れてしまい,体内に吸収されていくという。もしかすると,着床前に胚が正常かどうか選別するしくみがあるのかもしれない。

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