メディカルニュース
残存がんの検出法
nature nanotechnology 電子版 2016年2月15日
金の粒子をがん細胞に取りこませると,遠赤外線でがん細胞を発見できる。

 がんの切除手術では,どうしても小さながん細胞を切除しそこねることがある。そして,その少数の残存がんが再発の原因となる。手術では,残存がんをなくすために正常な組織を含む広い範囲を切除している。これでは,患者の負担が大きい。そこで,主な腫瘍を切除したあと,手術中に残存しているがん細胞をみつけ,残さず除去する手法が研究されてきた。
 アメリカ,ライス大学のフレブ博士らは,金の微小な粒子を使うことで,残存しているがん細胞を検出する方法を開発した。この粒子は,数ナノメートル(ナノは10億分の1)程度の大きさで,がん細胞に取りこまれやすい性質をもつ。遠赤外線を照射すると,金粒子が振動し,これを検知することでこれまで検出できなかった3〜30個程度のがん細胞を発見できた。
 この方法で検出したがん細胞を除去したところ,再発例はなくなったという。今後,再発を防ぐ確実な手術法として期待される。

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