メディカルニュース
細胞の分化を制御する
nature 電子版 2016年1月11日
細胞の分化に非常に重要な遺伝子のはたらきがわかってきた。

 ある細胞が,ある組織の細胞として特化していくことを「分化」という。「Nanog」という遺伝子は,精子や卵子といった生殖細胞への分化を制御する遺伝子として知られている。
 北海道大学の村上和弘博士らは,Nanogのはたらきを活発にすることで,ES細胞から生殖細胞の元になる細胞(始原生殖細胞)をつくることに成功した。これまで,始原生殖細胞をつくるには「BMP4」という高価なタンパク質が必要だったうえ,分化に成功する割合も40%程度だった。博士らの実験では,約90%の細胞が「BMP4」を使わずに始原生殖細胞への分化に成功した。
 さらに,細胞がES細胞から始原生殖細胞へ分化すると,Nanogのはたらきが変化していることがわかったという。細胞の種類ごとにその細胞の分化を制御する機能が変化していくことで,正しい組織へと分化していくのかもしれないと博士らは話している。

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