メディカルニュース
喘息と腸内細菌
Science Translational medicine 2015年9月30日号
特定の腸内細菌が少ない子供は,喘息になるリスクが高いことがわかった。

 喘息は,気道が炎症をおこし,発作的にせきが止まらなくなったり,呼吸しづらくなったりする病気だ。これまで,喘息の発症と腸内にいる細菌の組成に関係があることが動物実験などから推測されてきた。しかし実際にヒトの腸内細菌が喘息に関係しているのか,よくわかっていなかった。
 アメリカ,コロンビア大学のアリエッタ博士らは,生後3か月以下の子供の腸内細菌を調べ,さらにその後の健康状態について追跡調査を行った。その結果,特定の4種の腸内細菌が少ない子供は,その後に喘息を発症する可能性が高いことを発見した。そこで,これらの4種の腸内細菌を,喘息をもつ,無菌状態のマウスの腸内に移植したところ,このマウスでおきていた気道の炎症が緩和した。この結果は4種の腸内細菌が減少することが喘息を発症する原因である可能性を示している。
 腸内細菌を対象とした喘息の治療が可能となるかもしれない。

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