メディカルニュース
万能ワクチンの開発へ
Science 2015年9月18日
あらゆる型のインフルエンザを予防できるワクチンの開発が進められている。

 インフルエンザウイルスは毎年流行するタイプ(型)がかわるため,流行の型に合わせたワクチンを接種する必要がある。
 インフルエンザワクチンの中にはウイルス表面のタンパク質「ヘマグルチニン(HA)」が含まれており,これを体内に入れることで,HAを認識しウイルスを排除する「抗体」が体内でつくられる。HAの形が,ウイルスの型でかわるため,一つのワクチンは,特定の型のウイルスにしか効かない。
 ただし,ウイルスの型で大きく形がかわるのは,HAの先端部分だけで,その根元の部分はほぼ形が共通である。そこでオランダ,クルセルワクチン研究所のインパグリアッツォ博士らは,HAの根元の部分だけをつくりだし,マウスやサルに投与した。その結果,型によってほぼ共通のHAの根元を認識する抗体が効果的につくられ,複数の型のインフルエンザの症状をおさえることに成功した。万能ワクチンの登場は,そう遠くないのかもしれない。

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