メディカルニュース
難聴の根治に光
Human Molecular Genetics 電子版 2015年4月2日
遺伝子治療をほどこすことで難聴のマウスの聴力を回復させることに成功した。

 先天性の難聴の多くは,遺伝子が原因の「遺伝性難聴」とされている。補聴器などを用いた治療では,遺伝性難聴を根治することはむずかしい。遺伝性難聴は,「GJB2」という遺伝子の異常が最大の原因だとされている。
 順天堂大学の飯塚崇博士らは, ヒトのGJB2に相当するマウスの遺伝子「Gjb2」をもたない,難聴のマウスを作成した。このマウスでは,音を感じ取る「コルチ器」という器官が形成されない。また,コルチ器から脳に音を伝える役割をする「ラセン神経節細胞」が抜け落ちている。このマウスが生まれた直後,片方の耳に正常なGjb2を入れたところ,その耳では聴力が回復した。また,聴力が回復した耳では,コルチ器の立体構造が形成され,ラセン神経節細胞は大部分が存在していた。
 この成果は,ヒトの遺伝性難聴の根本的な治療法の開発につながるかもしれない,と博士らはのべている。

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