メディカルニュース
ヒトの小脳を作製
Cell Reports 2015年2月3日号
ES細胞を培養して,立体構造をもつ小脳組織を作製できた。

 運動機能をつかさどる小脳は,さまざまな種類の細胞からつくられており,複雑な構造をしている。どのようなしくみでそれらの細胞が小脳をつくりあげていくのか,よくわかっていない。
 理化学研究所の六車恵子博士らは,ヒト胚性幹(ES)細胞を培養することで,立体構造をもつヒトの小脳組織をつくりだした。博士らは以前,マウスES細胞から小脳組織の形成に成功していた。しかし,マウスES細胞と同じ条件で,ヒトES細胞から効率的に小脳をつくることはむずかしかった。博士らは培養する容器や,培養中に加える物質を検討した。そして,多種の細胞から構成された,小脳の組織を試験管の中でつくることに成功したのだ。作製した小脳組織は,妊娠初期の胎児のものによく似ていたという。
 ヒトES細胞からつくった小脳を研究に用いることで,小脳でおきる病気の治療法の開発に大きく役立つと期待される。

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