メディカルニュース
孫まで伝わる栄養不足
Science 電子版 2014年7月10日
妊娠中の栄養不足が,孫の代で糖尿病などのリスクを高める可能性がある。

 近年,糖尿病や肥満など,代謝(栄養素の分解や利用)の異常でおきる病気の症例数が急速に増加している。このような病気の発症には,栄養状態などの環境要因が影響していると考えられている。
 イギリス,ケンブリッジ大学のラドフォード博士らは,マウスを用いた実験で,妊娠中の母体の栄養状態が,孫の代の代謝機能にまで影響することを発見した。まず,妊娠時に母体が栄養不足を経験すると,雄の子ども(1世代目)の生殖細胞(精子を生みだす細胞)のDNAに変化がおきた。DNAのはたらきを調節する,メチル化という“目印”のパターンがかわったのである。そして,このメチル化パターンの変化は,次の子ども(2世代目)の体に影響した。2世代目の子供は,糖の代謝に関わるホルモン「インスリン」の分泌能が低下していたのだ。
 妊娠時の栄養状態が,孫の代の代謝異常でおきる病気にかかわっているのかもしれない。

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