メディカルニュース
食道の作製に成功
nature communications 電子版 2014年4月15日
体の外でつくった食道を,ラットに移植することができた。

 がんや先天的な奇形などのために食道を切除した場合,胃を直接のどにつなぐなどして,食道を「再建」する必要がある。この手術はむずかしく,再建した食道がうまくはたらかないことも多い。
 今回,スウェーデン,カロリンスカ研究所のシュークビスト博士らはラットの組織を用いて,新たに食道をつくり,それを別のラットに移植することに成功した。 博士らはまず,ラットの食道からすべての細胞を取り除き,タンパク質などからなる食道の骨格を得た。この骨格に,さまざまな種類の細胞を生みだす「幹細胞」の一種を接着し培養した。すると,筋肉細胞や上皮細胞をもつ食道をつくりだすことができた。この食道を移植したラットは,摂食を行うことができ,2週間の観察期間中に死ぬことはなかったという。
 この成功により,ヒトの体の外で食道をつくり,それを移植できるようになる可能性が生まれた,と博士らはのべている。

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