遺伝子にはタンパク質になる領域とならない領域(イントロン)がある。これまで,「FTO」という遺伝子のイントロンが肥満に大きくかかわることが知られていた。しかしこの領域は,FTOからつくられるタンパク質の量や機能には影響しないため,なぜ肥満と関係しているのか不明であった。
アメリカ,シカゴ大学のスメモ博士らは,FTOのイントロンが,「IRX3」という遺伝子に結合していることを見いだした。そこで,FTOのイントロンに異常をもつヒトの脳の検体を調べたところ,IRX3の活性が上昇していることがわかった。この結果から,FTOのイントロンはIRX3を介して肥満にかかわっていると予想された。そして実際に,IRX3をもたないマウスでは体重が30%減少し,IRX3が肥満に大きくかかわる遺伝子であることがわかった。
今回の肥満遺伝子IRX3の発見は,新たな肥満治療法の開発へとつながっていく可能性がある。
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