メディカルニュース
血小板を大量につくる新方法
Cell Stem Cell 2014年2月13日号
iPS細胞から大量の血小板を生産する新たな方法が開発された。

 深刻な貧血をもたらす血液疾患では,止血にかかわる血小板の供給が必要だ。現在,血小板の供給は血液の提供者に依存しているが,需要には追いついていない。
 このたび,京都大学の中村壮博士らは,ヒトのiPS細胞(人工多能性幹細胞)から血小板を大量に得る方法を確立した。博士らはこれまでに,ヒトのiPS細胞から血小板を生みだす細胞「巨核球」を作製し,この細胞から血小板をつくることに成功していた。今回博士らは,巨核球をつくる際に細胞死をおさえる遺伝子「BCL-XL」などの3種類の遺伝子を過剰にはたらかせ,ほぼ無限に増殖できる巨核球を作製した。つづいて,この巨核球でこれら3種類の遺伝子のはたらきを止めたところ,巨核球が成熟して短期間に大量の血小板を生みだしたことがわかった。この血小板には,止血に必要な凝集能力があったという。
 今回の方法で作製した血小板を,将来,臨床応用できるかもしれない,と博士らは考えている。

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