メディカルニュース
酪酸が大腸の炎症を阻止
nature 2013年11月13日
腸内細菌がつくる酪酸が免疫系を抑制することで,大腸炎の発症を防いでいた。

「クロストリジウム」は,腸内に多くいる片利共生的な細菌の一種だ。クロストリジウムは結腸内の免疫を抑制する制御性T細胞を活性化することで,炎症やアレルギー反応をおさえるという。しかし,腸内細菌が制御性T細胞を活性化するしくみは不明だった。
 理化学研究所の古澤之裕博士らは,大腸の細菌がつくる「酪酸」が結腸の制御性T細胞の増殖を促進することを明らかにした。博士らは,クロストリジウムだけを腸内にもつマウスに,食物繊維を多く含む食物と食物繊維をあまり含まない食物をあたえた。その結果,食物繊維を多く含む食物をあたえたマウスだけで,制御性T細胞がふえた。さらに,大腸炎のモデルマウスでは,酪酸が制御性T細胞を増加させ,症状を改善できることがわかった。
 今回の発見によって,腸内の微生物がつくる酪酸がT細胞の「Foxp3」という遺伝子の発現に影響し,制御性T細胞を増加させることで免疫の抑制につながることがわかったという。

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