メディカルニュース
新たな認知症診断法に道
Neuron 2013年9月18日号
認知症の一因となるタンパク質「タウ」の脳内での蓄積を可視化できた。

 アルツハイマー病は,神経細胞が死ぬことでもの忘れなどをおこす病気だ。この神経細胞死には,神経細胞に蓄積するタンパク質「タウ」が密接にかかわると考えられている。アルツハイマー病の診断には,脳内でのタウなどの蓄積を確認することが必要だが,生きている患者体内のタウを画像化する方法はこれまでなかった。
 今回,放射線医学総合研究所の丸山将浩博士らは陽電子断層撮像(PET)によってタウの蓄積を画像化するための薬剤,[11C]PBB3を開発した。この薬剤をヒトのアルツハイマー病の患者に投与したところ,この薬剤は脳内でタウが多く蓄積している海馬という領域に蓄積したことがわかった。さらに,この薬剤の分布はアルツハイマー病の進行にともなって変化し,これまで推測されていたタウの分布変化と一致していた。
 今回の成果により,初期の認知症を診断したり,認知症の進行度を評価したりすることが可能になるだろうと期待されている。

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