メディカルニュース
血液がんの治療に光
nature genetics 2013年8月18日
正常な細胞分裂に必要な遺伝子での変異が,血液がんで見つかった。

 「骨髄異形成症候群(MDS)」は血液をつくる細胞のがんで,血液がうまくつくられなくなる病気だ。MDSの治療法は,細胞の移植以外にまだない。
 今回,京都大学の昆彩奈大学院生らは,MDSの患者の遺伝子を詳細に調べ,MDSにかかわる遺伝子の変異を発見した。この変異は,四つのタンパク質からなる「コヒーシン」という複合体をつくる,四つの遺伝子で見つかったという。コヒーシンは,細胞分裂時に染色体が正しく配分されるようにはたらくことが知られている。
 コヒーシンに変異のある白血球に正常なコヒーシン遺伝子を入れたところ,細胞の異常な増殖が抑制されることがわかった。今回発見された変異は,急性骨髄性白血病や慢性骨髄性白血病など,ほかの血液がんでも見つかった。
 コヒーシン遺伝子の変異を,骨髄系のがんの進行予測や治療薬の開発に役立てることが期待される,と大学院生らはのべている。

CLOSE

CLOSE