メディカルニュース
抗うつ剤がきくしくみ
nature medicine 2013年6月16日
脳内で脂質「セラミド」の量を減らすと,うつ病が改善することがわかった。

 うつ病は,気分が落ちこんだり自分が無価値だと感じたりするなどの症状が出る病気で,自殺の危険性がある。うつ病の治療には抗うつ剤が用いられる。これまで,抗うつ剤がどのようにして効果を発揮しているのかは不明だった。
 今回,ドイツのガルビンス博士らは,抗うつ剤がきくしくみを明らかにした。脂質の一種である「セラミド」は,「スフィンゴミエリナーゼ」というタンパク質のはたらきで,細胞膜から分離される。博士らが,ある2種類の抗うつ剤をマウスに飲ませたところ,スフィンゴミエリナーゼのはたらきがおさえられ,海馬のセラミドの量が減少したことがわかった。さらに,うつ病を発症したマウスにこれらの抗うつ剤をあたえたところ,うつ病の症状が改善したという。
 抗うつ剤を開発するためには,脳内でのセラミドの量を減少させる薬をみつけることが重要である,と博士らはのべている。

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