メディカルニュース
脂肪の蓄積を抑制する腸内細菌
nature communications 2013年4月30日
腸内細菌が作る脂肪酸が宿主のエネルギー代謝を調節することが分かった。

 食事の際,腸管細菌は,宿主の食べたものから短鎖脂肪酸をつくる。この短鎖脂肪酸は宿主の重要なエネルギー源となる。
 今回,京都大学の木村郁男博士らは腸内細菌がつくる短鎖脂肪酸の受容体である「GPR43」が腸管細菌叢の代謝活性と宿主のエネルギー代謝に関連していることを報告した。博士らの実験によると,GPR43をつくることができないマウスは,通常の食事で肥満となった。一方,脂肪組織のみにGPR43を過剰発現させたマウスは,逆に肥満になりにくかった。腸内細菌がいないマウスではこうした傾向は見られなかったという。腸内細菌がつくる短鎖脂肪酸によりGPR43が活性化し,脂肪細胞による脂肪蓄積の抑制と,ほかの組織での脂肪とブドウ糖の代謝の促進が引き起こされるのだという。
 今回の博士らの成果から,腸内細菌の活動により,体内のエネルギー利用が調節されるしくみが解明されたのだ。

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