メディカルニュース
細胞からひも状の組織
nature materials 2013年3月31日
試験管内で作製したひも状の細胞組織から3次元構造をつくる方法が開発された。

 病気やけがで失われた臓器や組織を補う再生医療では,3次元的な組織を構築することが必要だ。
 今回,東京大学の尾上弘晃博士らはひも状の細胞組織を作製することに成功した。組織をつくるためには,まずゼリー状の材料でできた“型”にコラーゲンなどの物質と細胞を詰め,細胞を増殖させる。その後“型”をとかすことで,ひも状の細胞組織ができた。博士らは,このひも状の組織を織ったり巻いたりすることでさまざまな3次元構造をつくることにも成功した。また,博士らは今回の方法でラットの膵臓の細胞からひも状の組織をつくり,糖尿病のモデルマウスの腎臓に移植した。すると,血中の高かったグルコース濃度が正常になったという。
 今回の方法でつくったひも状の組織は,将来,体内の筋繊維や血管などに似せた,ひも状の組織を構築するうえでの“基本部品”として使えるかもしれない,と博士らは考えている。

CLOSE

CLOSE