メディカルニュース
肺の炎症の治療に道
PNAS 2013年3月11日
致死率の高い肺の病気に対する新たな治療法が開発できるかもしれない。

 肺の病気の一つに「急性肺傷害」がある。これは炎症性の病気で,細菌感染や毒物の吸入でおきる。この病気の効果的な治療法はまだなく,致死率も高い。そのため,この病気の発症のしくみを解明することは,新しい治療法開発のために重要だ。
 今回,東京大学の村田幸久博士らは,急性肺傷害にかかわる,体内のしくみを明らかにした。博士らは,「プロスタグランジンD2(PGD2)」という物質に着目した。この物質をつくることができないマウスと正常なマウスに肺炎をおこさせたところ,PGD2をつくることができないマウスでは肺炎の症状がより悪化したことがわかった。つまりPGD2は肺炎の抑制にかかわることがわかったのだ。また,PGD2は「DP受容体」というタンパク質を介して肺炎の症状を抑制していることもわかった。
 PGD2がかかわる情報伝達経路を標的として,急性肺傷害のよい治療薬を開発できるかもしれない,と博士らはのべている。

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