メディカルニュース
iPS細胞をがん治療に?
Cell Stem Cell 2013年1月3日号
がんを選択的に認識する免疫細胞を大量にふやすことに成功した。

 がんの目印となる物質を認識する免疫細胞であるT細胞は,がん細胞を認識して選択的に攻撃することができるため,がんの治療に利用できる。しかし,このようなT細胞を大量に作製する方法はこれまでなかった。
 理化学研究所のヴィズカルド博士らは,皮膚がん「悪性黒色腫」の目印であるタンパク質「MART-1」を選択的に認識するT細胞からiPS細胞を作製した。博士らが,このiPS細胞をT細胞へ変化させたところ,MART-1と結合できるタンパク質(受容体)をもつT細胞が効率的につくられたことがわかった。このT細胞の90%以上は,MART-1を選択的に認識できたという。博士らがMART-1をもつ細胞とこのT細胞を反応させたところ,がんの増殖をおさえるはたらきをもつ物質がT細胞でつくられたことがわかった。
 がんを選択的に認識するT細胞を用いた新たながん治療法を,今後開発できるかもしれない,と博士らはのべている。

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