メディカルニュース
鉄を保って感染を防ぐ
Cell Host & Microbe 2012年11月15日号
マラリア原虫の感染制御にかかわる,体内のしくみが明らかにされた。

 マラリアは,マラリア原虫の感染によって引きおこされる病気だ。マラリア原虫に感染すると,高熱などの症状がでて,死に至ることもある。マラリア原虫はヒトの赤血球に感染する。赤血球に豊富に含まれる鉄イオンは,マラリア原虫の増殖に欠かせない。しかし,鉄イオンとマラリア原虫の感染のかかわりについてはよくわかっていなかった。
 大阪大学のチャオ博士らは,鉄イオンに結合する「リポカリン2」というタンパク質がマラリア原虫の感染制御に重要であることを明らかにした。博士らがマウスをマラリア原虫に感染させたところ,リポカリン2が免疫細胞の機能を高めていたことがわかったという。一方,リポカリン2をもたないマウスでは,血中と脾臓で鉄イオン濃度が変化し,マラリア原虫に対する免疫反応が弱まった。
 今回の発見は,マラリアの治療法の開発につながるだろう,と博士らは考えている。

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