メディカルニュース
骨密度を減らすビタミン
nature medicine2012年4月号
ビタミンEが,骨密度を減少させるはたらきをもつことがわかった。

 骨密度は,骨をつくる「骨芽細胞」と骨を吸収する「破骨細胞」のはたらきにより一定に保たれる。脂溶性ビタミンの多くは骨密度を維持するために不可欠であるが,脂溶性ビタミンであるビタミンEが,骨密度の維持においてどのようなはたらきをしているかは不明だった。
 今回,東京医科歯科大学の藤田浩二博士らは,ビタミンEが骨密度を減少させることを明らかにした。博士らはまず,ビタミンEをつくることができないマウスを観察した。その結果,このマウスでは骨の吸収量が低下し,骨密度が増大することがわかった。逆に,ヒトが栄養補助食品として摂取する「α-トコフェロール」(ビタミンEの一種)を,体重あたりの摂取量がヒトと同程度になるようにマウスとラットに投与した結果,骨密度が減少したという。
 今回の発見により,ビタミンEの過剰な摂取は骨密度を減少させ,骨粗鬆症の原因になる可能性がある,と博士らは考えている。

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