メディカルニュース
細胞内の温度をはかる
nature communications2012年2月28日
温度により光る時間が変化する蛍光物質を使用し,細胞内の温度を計測した。

  細胞の複雑な機能は,細胞内の温度に深く関与していることが知られている。そのため,さまざまな方法により,細胞内の温度を測定しようとしてきたが,これまでこの試みは成功していなかった。
 今回,東京大学の岡部弘基博士らは,温度変化に依存して蛍光を発する時間がかわる蛍光物質を開発し,細胞内の温度を計測することに成功した。この温度計は,0.18度Cというわずかな温度のちがいを区別することができた。このシステムを使用して細胞内の温度を観察したところ,核の内部で最も温度が高く,また細胞周期にしたがって核および細胞質の温度に変動がみられることがわかった。さらに,エネルギーを生みだすミトコンドリアの温度上昇も観察することができたという。
 がん組織は正常な組織とくらべ,温度が高いことが知られている。今回の手法は,がん細胞の機能の解明にもつながるだろう,と博士らはのべている。

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