メディカルニュース
免疫細胞でがんを退治
PNAS 2012年1月19日
悪玉のマクロファージを善玉にかえ,がんを治療する手法が開発された。

マクロファージは白血球の一種で,体内に侵入した細菌などを攻撃するM1型と,がん組織に浸潤するM2型が存在する。M2型マクロファージは,がんの増殖や転移に関与することが知られているため,このM2型をM1型に変換することができれば,がんの増殖をふせげるかもしれない。
 北海道大学の志馬寛明博士らは,ウイルスがもつ2重鎖RNAをがん組織に投与することで,M2型マクロファージをM1型マクロファージに変換させることができることを見いだした。マクロファージは本来,外敵であるウイルスがもつ2重鎖RNAに反応し,活性化することが知られている。今回はこの反応を利用し,M2型をM1型に変換することに成功したのだ。肺がんを移植したマウスに2重鎖RNAを注入したところ,がん組織が退縮したことが確認されたという。
 今回の免疫療法を応用することで,現在,治療がむずかしい腫瘍に対して,新たな治療法の開発につながるだろう,と博士らは考えている。

CLOSE

CLOSE