メディカルニュース
パーキンソン病治療に新たな光
European Journal of Neuroscience 2011年11月号
脳の特定の部位が電気信号の伝達異常をおこし,パーキンソン病が発症する。

 パーキンソン病とは,意図しない手足のふるえや,筋肉の硬直といった運動障害がおきる病気である。パーキンソン病の原因は,脳内で「ドーパミン」という物質が減少することで,脳の電気信号が正常に伝達されないことが原因だと考えられている。しかしその詳細は不明だった。
 今回,生理学研究所の橘吉寿博士らは,パーキンソン病の症状を示すニホンザルの脳の活動を調べた。その結果博士らは,このサルの「大脳基底核」という脳の部位で,「発振」とよばれる異常な神経の活動がみられることを発見した。また,この発振はドーパミンを投与することで消えたという。
 これらのことから,パーキンソン病の患者では,脳内でドーパミンが減少することによって大脳基底核内で発振がおき、結果的に運動障害がおきる,と考えられる。こうした,大脳基底核のはたらきの解明によって、新しい治療法の開発などに役立つだろう,と博士らはのべている。

CLOSE

CLOSE