メディカルニュース
神経細胞内の異物除去
molecular cell 2011年10月21日号
神経の病気の原因となる異常タンパク質が分解されるしくみがわかった。

 アルツハイマー病やハンチントン病などの「神経変性疾患」に共通する特徴は,神経細胞中に異常タンパク質が蓄積し,その結果,細胞死に至ることだ。この蓄積を防ぐため,細胞にはみずからの細胞中の異常タンパク質を分解する「オートファジー」というシステムがそなわっている。これまで,オートファジーのしくみには,「p62」というタンパク質がかかわっていることが知られていた。しかし,異常タンパク質を分解する詳細な機構は不明であった。
 今回,理化学研究所の松本弦博士らは,ハンチントン病のモデル細胞を使ってp62のはたらきを調べた。すると,活性化されたp62は異常タンパク質に結合し,その結果オートファジーによる分解が促進されることがわかった。これは,活性化したp62を用いると,異常タンパク質を選択的に除去できる可能性を示している。
 今回の発見は,神経変性疾患に有効な薬剤の開発につながる,と博士らはのべている。

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