メディカルニュース
ガンのみをマーキング
nature medicine 2011年9月号
ヒトのガン細胞だけを蛍光色素で光らせる試みが,はじめて成功した。

 上皮性卵巣がんは,早期発見がむずかしく,末期がんの予後はかんばしくない。手術の際,腫瘍のみに正確に目印をつけることができれば,腫瘍を取り除く手術がより簡便になる。しかし,腫瘍だけに目印をつけることは,非常にむずかしかった。
 オランダ,フローニンゲン大学のダム博士らは,ビタミンの一種である「葉酸」に,蛍光色素「FITC」を結合させた薬剤を静脈に注射することで,上皮性卵巣がんだけに目印をつけることに成功した。上皮性卵巣がん細胞の90〜95%には「葉酸受容体α(FR-α)」が,その他の細胞よりも多く発現している。葉酸は,FR-αに結合するため,上皮性卵巣がんのみに目印をつけることができるのだ。
 実際に,この手法を用いて,複数の患者を対象にした手術が行われ,より簡単に腫瘍を取り除くことができた。このことから,上皮性卵巣がんの予後を改善できるだろう,と博士らはのべている。

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