メディカルニュース
HIVを無毒化する抗体
nature 2011年9月22日号
HIVを無毒化する複数の抗体は,たがいによく似た構造をもつことがわかった。

 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)を中和(無毒化)できる抗体は,複数あることが知られている。しかし,それらの抗体がどのような構造なのかは不明だった。
 今回,アメリカ,ロックフェラー大学のシェイド博士らは,HIVを中和する複数の抗体について,それらがたがいに似た構造なのか,それとも別の構造なのかを確かめた。HIVに感染し,HIVを無毒化する抗体をもつ4人の患者から,抗体を産生する免疫細胞(B細胞)を採取し,HIVを中和する576個の新しい抗体を作成した。これらの抗体を調べたところ,どの抗体も,HIVがはたらくのに必要な突起に結合することで,HIVのはたらきを阻害していることがわかった。また,これらの抗体の多くには,共通するアミノ酸に変異がみられたという。
 今回の発見により,HIVを中和する抗体の特徴がわかったことは,今後のHIVワクチンの開発に役立つ,と博士らはのべている。

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