メディカルニュース
慢性アレルギーの原因
nature 2011年9月8日号
あるタンパク質が慢性的な炎症反応につながるしくみがわかった。

 喘息やアトピー性皮膚炎などは,慢性アレルギーの一つである。その原因となる過剰な炎症反応は,免疫細胞の一種「Th2細胞」によっておきる。Th2細胞の炎症反応には,アトピー性皮膚炎の患部などで分泌されているタンパク質「TSLP」がかかわることが示唆されている。ただし,TSLPがTh2細胞の反応にどうつながるのかは不明だった。
 アメリカ,ペンシルベニア大学や東京理科大学の研究グループは,TSLPが白血球の一種(好塩基球)を介してTh2細胞のはたらきを制御していることを明らかにした。マウスを使った実験の結果,TSLPは,好塩基球の数をふやすとともに,好塩基球の表面にある受容体分子に結合して,好塩基球を活性化することがわかった。そして活性化された好塩基球が出す物質により,Th2細胞による炎症反応がうながされるという。
 TSLPの量は慢性アレルギーの発症に影響する可能性がある,と博士らは考えている。

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